劇的な童貞卒業をしようとして風俗店をはしごした時の話 1

人間関係って難しくないですか?(挨拶)

どうもみざです。今回はある程度長くなりそうなので早速本題へと入ろうと思います。

 

まず始めに、僕は『一線を踏み越える』部分をどうしても躊躇してしまうフシがあります。基本対応が後手になる事が多い。ああ好意があったんだ、とかね。距離感が色々掴めないのかもしれません。

そんな生来の気質とも呼べるものとか、単純に性格がアレとかがあったおかげで僕は二十ウン歳まで縁がなく童貞でした。好意を持つ、持たれるということが良くわからないせいでずるずる来ちゃった訳です。まぁそれを卑下したり吹聴するような事も無いんですが……それでもやはり男たるもの、性交というものに憧れはする。そして、そうなってくると気になるのは大人になると行ける『風俗』というものの存在な訳です。

更に(20代での童貞卒業って、結構遅いのでは?)なんて考えちゃったりもした結果――

『ならばいっそ他人とは違う、珍しいタイプの童貞卒業をしたい!!』

なんて風に派生する若かりし頃の僕の思考も皆様には……というか男の方には、一定のご支持を頂けるのではないかと考えております。

そんな訳で僕はある時一念発起し、

『童貞を卒業したその日に風俗店をはしごし、沢山の女を抱いた男』

という称号を得るために、風俗街が存在すると噂の札幌すすきのへと繰り出したのです。電車で。片道2~3千円。高い。

 

……最近は風俗街というか飲み屋街の側面が大きくなってきたすすきの。札幌へ電車で到着後、地下鉄乗って2駅で到着。ですが、僕はすすきの駅へ到着していきなり問題へと直面します。

どういうことかというと――つまり何を隠そう、風俗の知識がなかったのです。

は? と思う方も居るでしょう。ですが聞いて下さい。実は僕、『大きいことがしたい』とかいうふわふわな理由だけですすきのへとルギア爆誕してしまったため、なんと一手目から手探り状態だったのでした。気持ちと財布の金だけが先行し、脳が付いてこないという逆ニュータイプ状態です。

風俗経験者から話でも聞けば良かったのですが、地元にそういうヤツは居ても札幌はアウェイなのでそういうのも不可能。そいつの連絡先も知りません。つまり救援はゼロ。

そしてすすきの風俗街はキャッチがクソ多いので、すいません実は風俗初めてなんですけど~…みたいなビクビクした兎のような顔をして乗り込んだ途端、

「案内所ありますよ! どうぞこっちへ!」

とか。

「どこの店行きたいの? あ、ここか~ウチの系列店だわ! 電話するね! ……ごめん繋がらないわ。他の系列店紹介するよ!」

なんて言われて自分の店へ連れてかれてぼったくられます。

知識はないのに毅然とした態度で突撃をしなくてはいけないのは第二次世界大戦で徴兵され、ロクに訓練もせず鬼畜米英と戦わされる事になった日本兵を彷彿とさせますね。いや、自分の知識がないのが悪いんですが。

(……まぁ、エロ本で読んだ知識には電話をして予約と書いてあった記憶があるし、とりあえず電話をしよう。いやアレはデリヘルなのか? というか風俗の種類ってどれがどれなん?)

とまぁ、こんな知識レベルで行きました。ネタバレをすると後で痛い目を見ることになります。みんなも風俗行くのなら

・最低限の知識

・プレイ時間以外で待てる暇な時間

・友人以外の話しかけてくるやつ全員を無視するカクゴ

くらいは持っておかないといけません。特に2番目が大事で、やっぱり有名な嬢、可愛い嬢は即座に予約取られます。その時に待てるかどうかというのが風俗において成功できるか否かが分かれてくるなと思いました。

そして、なんということでしょう。僕は待てなかったんですね。『あ~○○ちゃんは予約いっぱいで3時間待ちですね~』なんて言われて

「なるほど……じゃあお店伺って女の子見せてもらいます~」

なんて言ってしまったのです。風俗プロなら前のネタバレがなくともここでもう僕が失敗する事を理解するでしょう。少なくとも僕は今回引いた風俗ガチャ(1回時価:16800円)を『容姿』という観点からなら間違いなく失敗したと断言します。

何も気付かず、期待に胸を膨らませて風俗サイトでランキング上位だったそのお店へ徒歩で到着。ビルの高層にそのお店は存在しました。エレベーターから出て、そのお店の面構えをみた僕の印象は

(思った通りだな)

というものです。壁のエロポスター以外はしっかりと小奇麗にまとまっていて、エロビデオ屋をマイナーチェンジしたよう、なんて言えばエロビデオ屋さんに行ったことがある人はある程度イメージ出来るでしょうか。個室ビデオ店でビデオを廃しました、みたいな感じ。

小綺麗なのはそうでしょうと思いました。汚かったら女の子が居着くわけが無いし、こちらとしても性病が怖くなったりもするし。汚かったらどうしようと思っていたので、第一ラインを突破した気分になります。

そんなふうにして心のなかでガッツポーズをしていると、笑顔が張り付いて取れなくなってしまったかのようなヤベえ感じのにこやかなボーイに今空いてる女の子たちを紹介されました。内心ビビりながらも会話をしていると、少ししてから後ろに人の気配がします。

(ん?二人目の客か?)

と思って見ると――違いました。服装から一瞬で察せてしまいましたが、後ろの彼は完全に二人目の店員でした。

出口は一つ。前後には店員。つまり当然の帰結として、この場がオセロボードで俺がひっくり返る必要があるか、店が店員二人を用いて客たる俺を挟み撃ちにしているということになります。前者であればまだマシなのですが、まずあり得ないだろうということで結局残る真実はひとつ。恐ろしいことに僕は既に退路を断たれていたという事になります。

……一度『こう』なってしまった僕が、未だこうなったことのないみんなへと一つだけ言えるアドバイスは、しっかりと予約を取ってから店に行きましょうということです。あの威圧はもう

「すいません、好み居ないんで帰りますわ^^;」

なんて宣っただけじゃ帰れそうにもありませんでした。細長いタイプの魚を獲るための返しつき捕獲罠を想起させました。ポケモンで交代できなくなる技『くろいまなざし』はつまりそういう事である説が俺の頭のなかで急に浮上してきます。闇だけに。

……ビクビクしながら俺は前のボーイと会話を続けます(後ろのボーイは結局一言も発することはありませんでした)。実際に現地へ行ってみると、空いている嬢は二人しか居ませんでした。サイトで見ると今日出勤の女の子が10人だか20人だか居たので、やはり人気の子はしっかりと取られているようです。

今考えてみると、プレイは1時間とか、人によって2時間とか。ひと目見ただけでモザイク越しでも美少女だ! って思えるような子には絶対みんな群がりますし、それで本当に顔がよかったらリピーターだって居るでしょうし、予約という制度もある。つまりその日にシフトを入れると、営業開始時点で電話予約によりその女の子が即座に埋まってしまっている、なんて事も十分ありえる訳なんですよね。

これで皆さんは『予約がされず、俺みたいな野良のやつにいつでも紹介できるようなやつは本気でやべえやつの可能性が高い』という事を理解できたでしょうか。

『偶然予約もハケてフリーだから人気no1の私が接客するね☆』なんて感じで美少女が来て最高の風俗を体験したい皆さんには申し訳ないのですが、それは夢なのでしっかり予約を取って美少女っぽい子を指名しましょう。

 

という事で二人の仲からマシそうな、細身Bカップの女の子を指名。そしてお金を払い、ボーイからの注意説明が始まった時にまた問題が発生します。

「基本的にお客様は寝ているだけで、女の子にのしかかるといった行為は禁止となっております」

……僕が選んだのは『マットプレイ専門店』という所でした。多分店バレましたね。まぁいいか。

風呂場でマットにローションをべっとべとにして女の子が身体で僕の身体を洗ってくれるとか、そういうやつです。正直風俗以外でそんな事が出来るとも思えないので、今までに無かった体験をしておこうという腹積もりで選んだ店でした。他に替えがあんまなさそうなので店に行って多少アレな感じでも適当に女の子を選ぼう、という愚考へ行き着いた訳ですね。

まぁローションでぬるぬるしているところで女の子に襲いかかろうとするのは普通に危ないのもあるんで。ここは問題なしです。

肝心なのは、次に放たれたこの一言でした。

 

「挿入は禁止なのでしっかりとご留意下さい」

 

……はい。どうやらこの店、ヤれないらしいですね。ゲーム終了です。お疲れ様でした。

童貞を卒業しようとして来たのにまさかの一撃。僕の無学さが招いた悲劇です。

キャッチを振りほどくためのポーカーフェイス(無表情)を利用して「分かりましたァー」なんて言ってましたが、内心!?!?!?!?!?!?!?!って感じでした。

童貞卒業は難しい。僕がはしご予定ではなく資金がギリギリだったら卒業出来ずに終わっていました。危なすぎる。無学は怖い。

別のエロ店じゃないとセックスは出来ないようなのでこの店に居る理由はもう無い(しかもケツに控えている店員2のおかげで帰れもしない)という、まるでラノベ『りゅうおうのおしごと』で清滝師匠vs神鍋歩が互いの将来の進退が既に決まり、無意味に熱い激戦を繰り広げているというあのシーンを彷彿とさせます。今私は最低の形であの熱いシーンを引っ張ってきてしまいました。すいません。

「以上です。何か質問はありますか?」

「無いです。大丈夫です」

……僕の内心を考慮しないというのであればつつがなく説明は終了し、待合室へ通されます。内心は未だ!?!?!でしたが、逆に考えればまぁ前哨戦みたいなものです。だってはしごするんですもの。ここで慣れて次へ行けばオケ。

30分程して笑顔が張り付いたヤベえボーイが再度来て、ついに嬢へとご対面です。あんまりバキバキに勃起とかしませんでしたね。期待に胸を膨らませていないといえば嘘になりますが、期待の更に上で冷静に物事を見ている自分が居るような感覚を覚えていたような気がします。

カーテンを開けて通路へ通されて、部屋へと嬢と一緒に行くシステムなのですが……この店の特色なのでしょう。照明が極限まで暗かったです。

そして――

「こんにちは~☆うわ~背大きい! よろしくお願いします♡」

「あ、よろしくお願いします~」

出てきたのは細身の女性でした。

……いやすいません、オブラートに包みました。『細すぎるだろ』というのが僕の感想でした。

なんだろう……土に水を加えて捏ねてある程度形を作ったあと、葉っぱが散ってしまったイチョウの木の枝をパキッと折って、そのドロにぶすっと突き刺したら目の前に居る女が出来上がるんじゃないかって感じの子が出てきました。

肝心の顔も年齢を感じさせます。個人的な感想だと30オーバーでした。10程トシ離れてるのでは? なんて思いましたが、よく考えれば子供の頃インターネットをして年齢を聞かれる度に『若いね!』なんて言われてたのと同じです。18から行ける店なんだから、相手が年老いた枯れ枝の老婆という訳ではなく僕がぴちぴちなだけです。これもギリギリセーフ。

『写真詐欺だったわ』なんてのは風俗へ行った奴が結構な確率で言う言葉ですが、僕が当たった子も本当に写真詐欺で。それでも太った子を痩せたように見せることが多いという先入観をもっていただけに、痩せたものを太らせるための写真加工というのは僕の思考の新たなる部分を開いてくれたように思います。

ですが、その中でも僥倖だったのは、先程言ったように部屋が暗い事でした。

明るい所であればシワとかがもっとくっきりみえてしまったのでしょうが……それはまるで僕が中学生の頃に遊びに行った友達の家の姉ちゃんがクソ可愛いと思ってたら暗がりで見たからそう見えただけで、明るいところで見ると中々微妙だったのと同じよう。色々と悪い所が隠されて、アウトのハズの女がギリセーフへと変貌を遂げていました。僕はとりあえず風俗の暗い部屋というものが好きになりました。

そうしてグランブルーファンタジーカリオストロ程ではないですが(例えが全てクソ)、軽くキャピキャピした感じで彼女は僕の腕を引きながら通路を歩いて部屋へと通してくれます。

ここからの行為に関してはまぁ生々しく書いてもアレなんで軽く流しましょう。僕から言えるのは

・マットプレイは大変気持ちが良いこと

・僕に身体を擦り付けてくる際の喘ぎが全部おんなじでコピペレベルだったので、性行為というのはなんなのだろうという問答を頭の中でしていたこと

・『嬢のアソコへ指を入れるのが禁止』と言われていたので全くアソコへと触れなかったのだが、シックスナインの構図になった時「もしかしてクンニでもしたほうが心象が良いのではないだろうか。何が正解なのだろうか。指を入れるのが禁止というのは、つまり舌は挿れてよいということだろうか」などと考えながら暗すぎてよく見えない女性の陰部をフェラチオされながらただ見つめていたこと(答えは未だ分かりません)

・アナル舐めをされたあとにディープキスをされ、臭くはなかったものの複雑な気持ちだったこと

くらいです。総合的に見るとプラス28って感じでした。割と良かったですが、まぁこうだよねという予想通りな感じもしました。あんまり顔は気にならなかったとだけ言っておきます。

 

……そうして1時間コースが終了し、一軒目の風俗チャレンジが終了します。お値段は先程ちらっと言いましたが16800円とかでした。高いのか安いのか分かりませんが、1オナニーでそれならぶっちゃけ悪くないのでは? なんて思うのはオナホールを買いすぎたせいなのでしょうか。

最後に「じゃあね~♡」なんて言われながら嬢に見送られ、行為の最中に彼女と会話をしてある程度の情が湧いていた僕も同じようにじゃあね、と手を振ってお別れをしました。

……念のために言っておくと、情といってもリピートをして僕が彼女に貢献してやろう! といったものではありません。

ただ彼女はこれからもこの仕事を続けていくのだろうかとか、未来への不安とか、将来の夢とか。そういうのがあるのかなあと少しだけ思っただけです。

面と向かって聞くのは失礼すぎるってのは当然だし、そこに来てるお前はなんなん? って話でもあるし。

何かを言ったり、何かを変えたりする情ではないけれど、それでも僕の中には彼女に対する情というのが行為後、確かに芽生えていました。

 

……『人はみな仮面を被って生きている』なんて言いますが、風俗という身体の関係をもつ他人から後ろ指を指される事もある仕事では特にそれが顕著だなと感じます。

それを含めて楽しむのか、背景の薄暗さに参ってしまうのか。同じく仮面を被って表面上での楽しみを行える人間こそが、真に風俗を楽しめる人間なのだなと思います。

昔『嬢と会ってもセックスをせずに金だけ払ったらロマンスがあるんじゃね!?』とか子供心に少しだけ思った事があるのですが、あの空気でそれを思えたら今まで生きてきて何を見てたん?って思いましたね(どうやら実際に居るらしい)。

なんとも不思議な感覚でした。ノスタルジー?違うな。人だけど『郷愁』に似ているのかもしれない。心が五センチくらい浮遊しているような感じでした。

そうして彼女とさよならをした後、すすきのの寒空の下で健気にキャッチをしている奴らを横目に見つつ、

『次はどんな人と出会えるのだろう』

なんて最初とは少しだけ違うベクトルでワクワクしながら、次の風俗店へ赴く前に携帯電話を取り出して

「セックスが出来る種類の風俗店はなんて呼称なのだろう……」

と、僕は改めてyahooでセックスが出来るお店を検索し始めたのでした。

 

という事で二店舗目(最終回)となるあのソープランドへつづくってことで今回のブログは終了です。

また気が向いた時にお会いしましょう。

 

 

 

ちなみに後で今回出てきた彼女の年齢を風俗サイトで確認してみると、表記で29歳となっていました。僕的には33~4だと思っています。写真詐欺はガチでビビるんで心して行って下さい。

あと僕が指名しなかったもう一人の女の子も見てみると29歳でした。閻魔様に『衆合地獄叫喚地獄、どっちがいい?』とでも言われた気分になりました。

 

ほんとうにおわり。